平和憲法9条守る力 姫路から強く大きく
9月から始まった決算議会が10月30日で閉会しました。日本共産党県議団は、行政改革の名のもと、県民の福祉・くらし・安全をばっさり切り捨てながら大型開発・大企業優先の県政を推進してきた平成26年度兵庫県一般会計決算認定に反対しました。一方で、これまで日本共産党県議団も議員提案してきた「中小企業振興条例」が議員提案され全会派一致で可決成立し、改めて中小業者が兵庫県経済で果たす役割について県議会でも見直されているところです(詳しくは県議会報告でお知らせします)。11月6日には来年度予算要望懇談会が知事、県幹部らと行われます。大型開発優先・大企業優遇の県政から県民の福祉・暮らし・安全が大切にされる県政への転換を求めて頑張ります。
忙しい日が続いています。土日は後援会等の皆さんへの議会報告、生活相談等々・・。本日3日は、午前中地元で行われた「生涯現役の集い」に参加、午後からは平成21年に起こった佐用町大水害の復旧工事がほぼ完了した事を受け、復旧工事で何がされ何が足りていないかなどの検証を住民の皆さんや国土問題研究会(大学教授ら専門家集団)の先生方を交えて意見交換会を行いました。住民の皆さんからは「予算がないと言って、コンクリート堤防にするはずの部分が土盛になった」「河川復旧工事が優先され、河川に至るまでの水路の設計が無茶苦茶」「河床掘削によって井戸水の量が減った」「排水ポンプは1分間に60t排水できる機能があるのに、取水口が小さいため能力に見合った効果を発揮できていない」「流木が引っかからない橋脚の設計が必要」等々・・たくさんのご意見が出され、とりわけ「予算をもっと防災事業に」というご意見が多く出されました。
兵庫県は県債残高が3兆円(臨財債除く)を越え、厳しい財政状況にあることは確かであり平成20年からは新行政改革プランを推進しているところです。土木費も例外ではなく普通会計ベースで土木費の占める割合は行革前には14%あったものが平成26年度には9%へ、地域の安心安全に責任をもつ出先機関である土木事務所は22事務所から13事務所へと統廃合され、土木事務所職員数も993名から756名へと削減されました。職員削減は県職員全体で2割削減が進められており、職員は多忙を極め平成26年度の最長残業時間職員は年間1400時間を越え疲弊しきっています。月平均にすると100時間を越え、過労死ラインを完全に上回っています。
無理な行政改革を進める一方で、不要不急の無駄な大型開発事業は行われその反省もないまま現在も推進されています。但馬空港は乗客見込み数が年間4万7千人あるとして事業着工されましたが、平成26年度実績では2万9千人に留まり毎年5億円の事業補助が県税で支出されています。姫路港広畑港区では年間64万tの取扱貨物量と3万t超の巨大コンテナ船が入港できるようにと40億円以上かけて水深14mバースを整備しましたが、平成26年度実績では取扱貨物量はわずか9万t、3万t超のコンテナ船入港実績は1隻です。高規格国道179号浜坂道路は6分間の時間短縮のために総延長9.6kmに350億円を支出する事業を推進中です。さらに、これまでもお伝えしてきましたが、県は1970年代に計画された播磨臨海地域道路網推進計画(総延長50km、総額5000億~6000億円)を熱心に進めています。平成26年度も約1400万円の推進調査費が支出されました。計画当初の1960年~70年代のGDP平均成長率は年率換算平均10%成長であったものが、2000年代に入ってからはマイナス成長が続いています。同じく60年代から70年代の自動車保有台数は約340万台から1900万台へと約5.6倍にもなっていますが、2005年~15年は7千8百万台から8千万台へとわずか1.02倍に留まっており今後自動車保有台数が減少することは明らかです。また、ご存知の通り人口推計予測でも今後40年間で2~3割の人口減少が推測されています。仮に播磨臨海地域道路網計画が事業決定したとしても、総延長50kmにもなる高規格道路を都市化計画決定→用地買収→事業着手→全線開通するまでには30年~40年はかかります。計画当初の1970年代から推測する30年後の日本社会と、これから30年後の日本社会では経済状況、人口動向など状況は大きく変わっています。もちろん経済停滞や人口減少社会から、活力ある社会への転換策は待ったなしの課題です。しかし、国政でも県政でもむしろそれに逆行する施策ばかりが打ち出されています。
一方で、今後1960年代~70年代に建設された公共施設、インフラ等のコンクリートや鉄の劣化などが、寿命といわれる50年目を迎える時期となり老朽化対策にかかる予算が膨大な額となります。例えば県管理の橋脚は4654橋ありますが、今後10年計画での老朽化対策予定数はわずか324橋で304億円。建設後30年経過した下水道管は52kmありますが今後10年間の老朽化対策予定区間はわずか0.72kmで10億円です。つまり、20年後、30年後にはその他の橋梁、下水管が一気に50年目の老朽化を迎え莫大な予算が必要となってきます。ちなみに平成26年度は兵庫県全体の土木費は約1800億円です。
佐用町住民からは「予算を防災事業に」と、切実な声が寄せられました。老朽化対策にも今後莫大な予算を必要とします。厳しい財政状況のもと需要予測の甘い不要不急の大型開発事業に無駄な予算を投入する余裕は兵庫県にはありません。2009年?に国交省が行った調査では国直轄の大型公共事業では地元建設業者の受注率は、わずか38%に留まっていることも明らかになっています。大型公共事業では鉄と機械とコンクリリートに大半の予算が使われ、大手ゼネコンを潤すだけで地元建設業者への恩恵は限定的です。これからの公共事業は、大手ゼネコンの利益を優先する不要不急の大型開発から、地元建設業者も直接受注でき、地元住民からの切実な願いでもある防災・老朽化対策への転換が必要です。
死者18名、行方不明者2名という甚大な大水害から5年が経過しました。被災された住民の皆さんのお気持ちに寄り添えるまでには到底及びませんが、災害復旧工事がほぼ完了する中でハード面での問題点をわずかながらですがお聞きする事が出来ました。引き続き、地元住民、国土問題研究会の皆さんとも検証作業をすすめ、個別具体的な防災・復旧事業については予算化を求めていくとともに、県予算全体の抜本的転換を求めて頑張ります。
久崎地区センターで行われた意見交換会。鍋島元佐用町議のご尽力によってたくさんの住民の皆さんにお集まり頂きました。金谷英志、平岡きぬえ町議も参加しました。
下写真は兵庫県では初めてと言われている「輪中提」。「輪中提」は、集落をコンクリート提で囲んで河川氾濫時に溢れた河川水から住居を守ります。通常は道路部分を開放していますが、河川氾濫時には道路部分の両サイドの「輪中提」に柵をはめ込んでつなぎ、集落への浸水を防ぎます。
しかし、この工法には賛否あるようです。というのも、河川氾濫を前提としているからです。本来であれば、想定豪雨河川流量に対して、堤防の嵩上げ、河床掘削、河川拡幅などをして豪雨を下流に流すという発想のはずです。しかし、川幅が狭い場合や河床掘削ができない場合、あるいは堤防高が確保ができず上流より下流の方が河川断面積が小さい場合がおこります。そうなると、上流からの豪雨を下流に流す事ができずに河川は氾濫してしまいます。その場合に、下写真にある様に河川から水を溢れさせる事を前提に、溢れ出した河川水が堤防の外側を崩して決壊しないよう堤防の外側をコンクリートブロックで巻く「巻提」工法を行い、溢れ出した河川水から「輪中提」で住宅を守るという、河川氾濫を前提としている発想が「巻提」「輪中」工法です。 もちろん、下流河川断面積がどうしても確保できない場合には有効な工法になるわけですが、兵庫県の場合は予算が確保できなかったために「輪中提」工法を行ったという声が地元から聞こえてきます・・。真偽は不明。
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