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今後の県営住宅のあり方について=管理戸数削減などに反対

 9日、兵庫県農業共済会館で兵庫県住宅審議会が開催されました。私は昨年から住宅審議会の委員。今日の審議会では、これまで審議されてきた今後10年間(平成28~37)の県営住宅の役割と目指すべき方向や、事業展開、整備・管理方針を示す「今後の県営住宅のあり方について」の答申案が示され賛成多数で採択されました。

 私は主に以下の3点について反対理由を述べ答申案に反対しました(要旨)

①管理戸数の削減 ②家賃減免制度の見直しによる事実上の家賃値上げ ③災害復興住宅からの画一的な被災者追い出し

 反対の第①の理由は管理戸数削減の答申案になっているからです。

 答申案では、将来的な世帯数・人口減少を理由に、現在5万2千6百戸ある県営住宅管理戸数を4万8千戸まで削減するとしています。一方で県は、現状課題として非正規雇用の増大による若年者の低所得化を認めつつも、若年者あるいは高齢者の低所得化による住宅の確保に配慮を要するものの将来推計値を持ち合せていません。今日の審議会で私が問うても「住宅困窮者の将来推計値はもっていない」ということでした。現状課題として低所得化が進行していることを認めつつ、将来の住宅困窮者の推計値さえ持ち合わせずに管理戸数削減を進めるなど全く道理がありません。公営住宅法では公営住宅の目的について「住宅に困窮する低所得者に対して低廉な家賃で賃貸し・・国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」とあります。非正規雇用の増大などによる低所得化によって、県営住宅への期待と役割がますます高まる中での管理戸数削減は認められません。また、熊本地震が現に発生している中で、被災への備えも必要です。阪神淡路大震災では全壊戸数約10万戸、東日本大震災では全壊戸数は約11万7千戸でした。一方で南海トラフ地震では最大で238万戸の全壊が予測されています。耐震化の備わった公営住宅ストックへの期待がますます高まる中での管理戸数削減は認められません。第3次行政改革プランに位置づけられた管理戸数削減ありきの答申ではなく、住民の福祉・暮らしを増進するための住宅政策こそ必要です。

 反対の第②の理由は家賃減免制度の見直しによる事実上の家賃引き上げになっているからです。

 県は、第三次行政改革プランに沿って2015年度から、県営住宅家賃減免制度の見直しを行いました。県は真に経済的に困窮する世帯への支援を図るとして見直しを導入しましたが、多くの世帯で家賃が事実上の引き上げとなり、入居者からは悲鳴の声が挙がっています。物価の上昇に年金、賃金の上昇は追いついておらず県民の暮らしは疲弊しています。事実上の家賃引き上げという無理な行革を推進するのではなく、県民の福祉暮らしを増進する行政改革こそ行うべきです。

 

 反対の第③の理由は、答申案が復興借り上げ住宅からの被災者追い出しを推進しているからです。

 兵庫県弁護士会は平成28年4月26日に借り上げ公営住宅に関する意見書を発表し、一般公営住宅に入居した被災者との公平性、住み替えにあたっては個々の入居者の健康や生活状態、コミュ二ティ形成状況等の事情を十分に配慮するべき。と述べ。借り上げ問題は被災入居者との協議による解決が好ましい。としています。復興住宅については、入居時に入居者に通知すべき退去期日が十分に通知されていなかったという経緯もあり、入居者の中では混乱が広がっています。先日、県は20年期限を迎える入居者に退去通知を発送しましたが、退去に応じない姿勢を示している入居者もおられます。画一的な追い出し・住み替え推進ではなく、個々の事情に応じた協議による解決こそ必要です。

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