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 兵庫県議会「憲法9条守れ!の声を国へ!」に対し 井戸知事「国民の間で議論される事を期待」

7日の県議会一般質問で、安倍首相の憲法9条改定発言について井戸知事の認識を問いました。以下質問、答弁要旨

 

 

 

 

 

 

 

 

 入江質問

 憲法9条の改憲問題について知事のご認識をお伺いします。
 5月3日に安倍首相が、読売新聞の「首相インタビュー」と日本会議系の団体主催の「憲法フォーラム」へのビデオメッセージで、憲法9条に自衛隊を明記する憲法改定を行い、2020年に施行を目指すと表明しました。
 戦後、政府は「戦力不保持と交戦権の否認」を定めた9条2項のもと、自衛隊は「戦力ではなく自衛のための必要最小限度の実力」としてきました。そのことから海外での武力行使、集団的自衛権の行使、武力行使を伴う国連軍への参加はできないとし、それを根拠に自衛隊を合憲と言ってきたのです。また、2015年9月に成立したいわゆる安保関連法のもとで、9条2項の制約の範囲内という建前がとられ、集団的自衛権の行使は「我が国の国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」等がある場合に限定され、「湾岸戦争やイラク戦争、アフガン戦争のような場合に、武力行使を目的として戦闘に参加することは決してない」と、してきました。
 安倍首相の発言の内容は、「9条1項と2項は残し、自衛隊の記述を明記する」というものです。その場合、2項が死文化、亡き者にされてしまいます。なぜなら、自衛隊の存在理由が書かれれば、それが独り歩きし、それを根拠にして自衛隊の役割がどんどん広がっていくことになるからです。例えば、自民党の改憲案にあるような内容で「ただし、国際の平和と日本の独立を確保するために自衛隊を保持する」と明記されたら、自衛隊は2項の制約から解き放たれ、海外での武力行使は無制限になってしまいます。
 知事は2005年の第283回定例議会で、我が党議員の質問に対し、自衛隊について「やはりそれなりの明確な位置づけをすべきではないか、」と答弁しています。ただ、申しあげました通り、2015年に集団的自衛権の行使容認が閣議決定され、いわゆる安保関連法が成立したもとで、自衛隊の本質と役割が大きく変わり、自衛隊を9条に書き込むことに、かつての改憲論者からも批判の声が多く挙がっています。変えるべきは憲法9条ではなく、現実を憲法に合わせる努力こそ必要ではないでしょうか。安倍首相の憲法9条改定発言に、地方からも反対の意思を明確に表明することを求めます。知事の答弁を求めます。

答弁 井戸知事 

 日本国憲法の前文、および9条に示されている恒久平和主義は、憲法の基本原理のひとつであるとともに戦後の日本が世界に誇るべき崇高な理念であると考えています。
 その理念のもと、わが国が世界の平和の確立に積極的に貢献すべきであることは私も含めて、すべての国民の願いであると考えます。
 外交防衛については、もっぱら政府が責任をもつ分野であると考えるが、少なくとも現在の自衛隊が国際平和貢献、大規模災害への派遣など、重要な機能を果していることに加え、国の安全の根幹をなす存在です。
 おおかたの国民は自衛隊の存在自体が憲法に違反すると考えていない実情ではないかと思っています。
 憲法上明確にその位置づけの必要性について、国において十分な検討や議論はおこなわれるべきです。
 また現行憲法制定後70年のあいだ、憲法解釈によりさまざまな現実問題に対応してきたが、解釈だけで現実問題に対応することについての是非がいまあわせてとわれているのではないでしょうか。
 今後9条を含めた憲法改正について国会をはじめ、国民のあいだで十分な議論がされることを期待している。とくに地方自治の条項についてもそのひとつだと考えます。
 なお県としては、国とは別の次元で、草の根の地域間交流をはかることにより、地域から国際平和に貢献していくことが県の役割と認識しています。

入江再質問 

 憲法の問題について、知事は「解釈だけで対応するのは限界があるのではないか」と答弁された。自民党元総裁の河野洋平氏は、先日行われた講演の中で「人によっては軍隊というべき自衛隊の存在がある以上、9条に書くべきだという人もいるがそれは間違っている。憲法は現実に合わせて変えていくのではなく、現実を憲法に合わせる努力こそすべきではないか、「事実上はこうだから憲法を変えましょう」では、憲法にはひとかけらの理想もないのかと言いたくなる。憲法には一つの国家の理想が込められていなければならい」こう述べています。全くその通りだと思います。
 あらためてお伺いしたいのは、知事は、「憲法の崇高な理念」といいますが、自衛隊の役割と性質が大きく変質したもとで、その自衛隊を憲法9条に明記することによって、知事のおっしゃった「恒久平和主義の理念」が、根底から揺らいでしまいます。
 2015年の集団的自衛権行使容認閣議決定と安保関連法の成立によって、日本が直接武力攻撃を受けていないにも関わらず、日本と密接な関係にある同盟国、つまりアメリカと一緒になって海外での武力行使が可能となり、自衛隊の役割と性質が大きく変わった。このもとで、自衛隊を9条に明記するとなると、憲法の崇高な理念は、死文化、ないものになってしまいます。
 改めて知事にお伺いしますが、憲法の崇高な理念を実現するためにも、今すべきことは憲法に合わせて現実を変える努力であって、憲法9条を改定すべきでない、この声を地方からも国に届けていただきたい。あらためてご答弁いただきたい。

再答弁 井戸知事 

 日本国憲法の特色の最大の理念は、大学時代に習った時も恒久平和主義ということだった。ただ自衛隊の存在そのものについては、違憲だという主張もあるけど、自衛権は否定されていない。自衛権にもとづく活動は、憲法上容認されている、これも大方の理解であると思います。
 憲法改正をするかどうか、どのような内容でおこなうかどうかについて、議論をきっちりする必要がある、それが、憲法審査会を中心に各党、それぞれ意見をたたかわせているというのが、実情であると思います。
 日本国憲法が70年たって、その崇高な理念をどのように守りながら、自衛権とのかかわりをどのように整理していくのか、現時点での主題であると考えますので、その議論をしっかりしていただきたい、国民に信を問う、国民投票おこなわれるのかどうかを見極めることが必要だと考えています。

入江再質問 

 安倍首相は2020年までに憲法をかえると述べていますが、2020年といえば、次選ばれる知事の任期中ということになります。憲法きちんと守る知事なのか、その態度が問われます。
 憲法9条改正を許すなという声を地方からあげるべきだと述べて質問をおわります。

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