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大企業呼び込み型の地域創生でなく、第一次産業と中小企業を大切にし、若年層・子育て世代を応援する施策を

 8日、予算特別委員会 企画県民部部局審査で、大企業呼び込み型の地域創生でなく、第一次産業と中小企業を大切にし、若年層・子育て世代を応援する施策を求めて当局を質しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兵庫県第1期地域創生戦略では戦略目標の大きな柱である、自然増対策・社会増対策ともに目標指数を大きく下回りました。これでは将来の兵庫の目指すべき展望がまったく見えてきません。

 第1期戦略では自然増対策について、出生数は毎年4万4千人を維持すると目標に掲げました。しかし、2015年のスタート時に44,706人の出生数だったものが年々出生数は低下し令和元年は初めて4万人を割り込み38,658人へと大きく落ち込みました。合計特殊出生率についても2015年度実績値1,48だったものがここでも年々低下し令和元年には1,41へ、目標数値1,54を大きく下回りました。

 社会増対策については、第1期戦略目標で2016年の7,092人の転出超過から2019年には1,208人の転入超過へと転じる目標を掲げていましたが、逆に2019年は7,260人の転出超過となり、スタート時の2016年をも上回る転出超過となりました。

  県当局は社会増対策として「女子学生が希望する総合事務職を備えた本社機能を誘致する」としていますが、女子学生が総合事務職を備えた本社機能への就職を求めて東京へ転出しているという明確なエビデンスはありません。

 自然増対策として県当局は、「晩婚化の解消」を掲げています。しかし、晩婚化の要因も突き詰めれば経済的要因に行き着きます。それも含めた若年者・子育て支援策が求められているのではないでしょうか。

 県子ども子育て会議ではこういう指摘がされています。「奨学金で大学を卒業した女子大生は、多額の返済に迫られ結婚どころではなく、これが未婚化・晩婚化の一因となっている。このような女子大学生が結婚に踏み切れるように支援方策を考えてみてはどうか?」「未婚化・晩婚化・晩産化の要因として、若者が奨学金で大きな負債を負っていることが考えられる。奨学金を給付型にするなどその在り方について検討が必要」と、指摘がされています。

 女性の4年生大学への進学率は平成8年ごろから短大の進学率23%を上回り、令和元年は4年生大学進学率は45%となり、短大進学率11.5%を大幅に逆転しています。日本学生支援機構のデータでは奨学金受給率は1996年度の21.2%から直近データのある2018年度は47.5%にもなっています。子ども子育て会議が指摘しているように、奨学金返済の負担が晩婚化・未婚化・少子化に影響与えているのではないでしょうか

  明石市では子育て施策の充実によって人口、出生率ともに順調に伸ばしています。一方で神戸市は、2000年には東日本、芦屋市、高砂市を除いたすべての近隣市町から転入超過となっていました。対大阪市についても当時は転入超過となっていました。ところが2017年には、明石市、三木市、宝塚市、西宮市、伊丹市、尼崎市、芦屋市、大阪市、東日本で転出超過となっています。神戸市の2025年ビジョン策定に向けた各種アンケートでは、神戸市に住み続けたくない理由の断トツのトップとなっているのが「子育て環境が整っていない」とのことでした。

 県資料では既婚者が希望する子の数は2,32となっていますが、実際の数は1,94人と大きなギャップがあります。奨学金返済支援金の抜本的拡充など、若年者、子育て世代を支援し希望する子の数を実現させる施策こそ必要ではないでしょうか

  若い世代が大都会東京へ出たいと思う気持ちは止められるものではありません。一方で、地元兵庫で就職したいと考えている学生が約6割、新卒の離職率が3年で3割という数字もあります。ここに働きかけ地元兵庫で就職してもらう。あるいは、東京へ出て行き離職した若者に地元兵庫へ帰ってきてもらう。ここに強いメッセージと対策を打ち出すことが非常に大事に思います。

 これまでも指摘をしてきましたが、大企業呼び込みと大型開発推進では東京一極集中是正と地方の過疎化に歯止めがかからなかったことは明らかではないでしょうか。地域の一次産業や中小企業をしっかり支援し、若者や子育て世代への支援を大幅に拡充する地域創生戦略への抜本的転換を求める。

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