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当局予算案に対し、日本共産党県議団は予算組み替え提案を行いました。

【予算特別委員会総括審査】 17日、予算組替え提案を行いました。検査拡充、保健師増員、小6までの35人以下学級、高校1年生全員へのタブレット無償貸与、温室効果ガス削減強化事業、ジェンダー平等促進事業費など

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、予算組み替え提案の全文

日本共産党県会議員団の入江です。日本共産党の2021年度兵庫県予算案の編成替えを求める動議について、提案説明を行います。

知事提案の新年度予算編成は、民間消費の低迷や企業業績の悪化などから税収減が見込まれる一方、臨時的な対応としてシーリングの強化や事業数の削減など、施策の選択と集中を行ったとされています。コロナの影響もあり、県庁舎等再整備基本計画が次年度に繰り越され、但馬空港の機能強化や、大規模アリーナ整備などの検討が持ち越されているのは当然で、中止も含め、白紙からの検討が必要と考えます。
 一方で、総事業費5000億円ともいわれる播磨臨海地域道路、東播丹波連絡道路など基幹道路八連携軸など新たな投資事業を推進しながら、コロナ禍から県民の命を守るための医療・衛生体制については、十分な拡充がされておらず、県民の暮らしや生業を立て直す施策は乏しいものとなっています。
 日本共産党県議団は、県提案の2021年度予算案を県民の立場からチェックするとともに、県民の願いにこたえる予算として、21年連続となる、予算組み替え動議を提案するものです。

 組み替えでは、まず全体の規模は、一般会計で見直しが必要な事業78項目、合計412億円(約1.5%)を減らし、そこから生み出された一般財源、特定財源など約111億円を、新型コロナウイルス感染症緊急対策、職員定数、気候変動対策、子育て・高齢者への支援、教育の充実、中小企業、小規模農業支援など28項目の増額に充当しています。また、県債の発行額を、一般会計と2つの特別会計で、230億円抑制しています。

 それでは、主な内容について説明いたします。
 第1の柱は、新型コロナウイルス感染症対策です。
 わが党は、新型コロナウイルス感染症対策について、11次にわたる申し入れをおこなってきました。知事提案予算案では、国庫を財源とする検査・医療体制充実や中小企業支援などの予算が一定反映されていますが十分とは言えません。組替え提案では、無症状感染者を見つけ出すための医療・高齢者施設等の職員等への頻回・定期的検査、隠れた感染源早期探知のためのモニタリング調査の促進など、新型コロナウイルス感染症対策への予算を新たに10億円計上しています。

 第2の柱は、人員配置の強化です。
 新型コロナウイルス感染拡大への対応では、その要となる保健師などの職員を削減してきたことが、大きな影響を及ぼしています。国は、来年度の保健所職員の増員の交付税措置をおこない、兵庫県では、保健師18名、それ以外の職員2名~3名の増員分が見込まれているにもかかわらず、実際の保健所職員の増員は、7名にとどまっています。組替え提案では、保健師の増員を7名から18名に、11名分を上乗せする予算を計上しています。
 また今年は、阪神淡路大震災から26年、東日本大震災から10年となります。南海トラフ地震も間近といわれるなか、その備えの要となる土木職員も、行革で削減され、慢性的な人手不足におちいっています。組替え提案では、全ての土木事務所に1名の増員、13名分を増員する予算を計上しています。

 第3の柱は、地球規模の気候変動対策です。
 兵庫県は、新・兵庫県地球温暖化対策推進計画の検討をすすめており、2050年の二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すとしていますが、そのための中間目標である2030年度の削減目標は2013年度比で最大38%にとどまっています。2050年の実質ゼロのためには、2030年度目標をさらに引き上げることが求められます。
 そのために組替提案では、産業部門での実効ある削減措置や兵庫県から新設も含めた石炭火力を禁止するための予算を新規で計上しています。また県の自然エネルギー地域ポテンシャル調査事業費として600万円を充て、「家庭における省エネ支援事業」「住宅用太陽光発電設備設置補助事業費」の対象件数を引き上げる増額を行いました。

 第4の柱は、子育て支援を強めるための組み替えです。
 川西市が今年7月から中学3年生までのこどもの医療費無料化にふみきり、これで県内41市町中36市町が、中学3年生までの子どもの医療費無料化にふみだすことになります。組替え提案では、全県で、中学まで、通院・入院とも所得制限なしで無料化にするため、県市町の共同事業として、必要額約62億円の半額、約31億円を計上しています。
 高すぎる国民健康保険料引き下げるため、子育て施策として、18歳未満の子どもの均等割を県負担1/2、市町負担1/2で減免する制度を創設し、12億円を計上しました。
 また第3次行革で所得制限の強化、一部負担金の増額が行われた母子家庭等医療費助成費は、第3次行革前に戻すために、1億6800万円増額しています。

 第5の柱は、医療・福祉分野への支援を強めるための組み替えです。
 とくに行革で削られた福祉医療制度の復活をおこないます。
 老人医療費助成制度を復活させ、重度障害者(児)の医療費助成は、所得制限の世帯合算方式をやめる予算に増額します。難病患者の医療費について、国の制度改変によって有料化された非課税の患者自己負担額を無料に戻すため4300万円を増額します。
 老人福祉対策として、一昨年、意見書として国に提出した加齢性難聴者補聴器購入補助について県制度を制定し、1人あたり平均4万円を5000人に補助できるよう2億円を計上しました。
 また看護師確保事業として、看護師学生など就学資金支援金制度を創設し、1人年間50万円を60人対象に支給する制度として、3000万円を計上しました。

 第6の柱は、教育分野の支援を強めるための増額予算です。
 国は、40年ぶりに学級標準編成を変更し、小学校を35人以下学級にするために、来年度2年生の少人数学級のための財政措置をおこない、それに伴い各県でも、独自の少人数学級をすすめようとしていますが、兵庫県は、現状の小学4年生にとどめたままです。組替え提案では、小学校5,6年生の35人以下学級を実施するために、教職員225人を増員し、小学校職員費を約16億4500万円増額しました。

 さらにコロナ禍において、高学費や生活費で苦しむ学生がひろがっているなか学費無償化、教育費の支援は喫緊の課題です。
 国の高等教育修学支援新制度が行われていますが対象人数があまりにも少なく、求められる現状にこたえるものとはなっていません。
 県独自の高等教育修学支援制度を創設し、年間36万円を750人に給付するため、2億7000万円計上しました。

 また、私立高校の授業料軽減補助について、国や県の私立高校無償化措置で年収590万円未満世帯者は、兵庫県の平均授業料40万8000円が補助されていますが、組替え提案では、年収590万円世帯~910万円未満世帯にそれぞれ補助を2万円上乗せし、1億4000万円を増額します。

 コロナに伴い学校でのICT化がすすんでいますが、県が2022年度から高校生には、自費でタブレットを用意することを要請することに、県民から大きな批判が寄せられました。県は、新たに12000人分貸与できるようにしましたが、不十分です。組替え提案には、来年度の高校1年生全員にタブレットが行き渡るように、19億3500万円を計上しました。

 第7の柱は、中小企業、小規模農家支援です。
 とりわけ中小企業に対し、融資ではなく直接支援が必要と考え、施策の充実をはかりました。
 ひとつは、ひょうご男女いきいきプランが改定されましたが、県内における女性の社会進出は、遅れています。組替え提案では、女性の正規採用や管理職への登用を促進するためにジェンダー平等促進中小企業支援事業を立ち上げ、1億円を計上しました。

 京都府と連携して行っている「兵庫型奨学金返済支援制度」については、一人当たりの支援額を3万円上乗せするために、2100万円増額しました。

 県内市町でも大きな実績をあげている中小企業店舗リフォーム助成事業、民間住宅リフォーム助成制度を新設し、あわせて1億2千万円を計上しています。

 中小企業振興のために中小企業者団体なども参加し、双方向で知恵をだし、意見交換ができる中小企業振興会議費を新たに計上しました。

 兵庫農業の基盤を底辺から支えるのが、家族経営など小規模農家です。国連が2019年に「家族農業の10年」をスタートさせているように、小規模・家族農業支援の充実が必要です。組替え提案では、とくに中山間地の小規模農家を支援するために、小規模農家公的サポート事業として、5000万円の予算を確保しました。

 第8の柱は、過大性や問題点を見直した公共事業や、大企業呼び込みのための産業立地補助金など削減した予算についてです。
 コロナ禍においてますます過大な見込みとなった基幹道路八連携軸として調査費等が計上されている、播磨臨海地域道路や東播丹波連絡道路事業、大阪湾岸道路西伸部整備事業支援、また園田西武庫線などの道路関連事業費について約130億円、国が負担すべき国直轄の公共事業について約100億円を削除しました。

 本社機能誘致など、呼び込み型の企業誘致に頼った地域経済の振興策には限界があります。パナソニック尼崎の撤退によって、失敗が明らかになっている産業立地促進補助約19億円を削除しました。

 また地域創生推進事業費は、一部の事業を見直し、約7億円減額しました。
 不公正な同和行政が残る事業、マイナンバーや住民基本台帳ネットワーク関連事業、過大な情報ハイウェイなどの予算も見直し、削減しました。

 県会議員の海外視察についても友好都市訪問の公式行事のみとし、人数も限定するなどの簡素化で半減しました。

 以上が予算組み替え提案の主な内容です。
 新型コロナウイルスの新規陽性者数は、再び増加に転じています。
 新型コロナウイルス感染症対策を強化し、気候変動、災害への備えを強め、県民の命と福祉・くらしを守り、だれもが安心して暮らせる兵庫県とするための日本共産党兵庫県議団の組替え提案に対し、委員各位のご賛同を心からお願いいたしまして、提案説明を終わります。ありがとうございました。

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