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自治体学校・養父市「農業特区」、豊岡市「コウノトリ育む農法」

 30日、31日は自治体学校へ。

 30日は神戸芸術センター芸術劇場で全体会議。記念講演は「日本型人口減少社会と地域の再生=混迷の時代をどう生きるか」、パネルディスカッションは「辺野古への新基地建設を巡って争う国と沖縄県=憲法・地方自治から見ると、何が見えてくるか」というもの。

 31日は現地分科会で養父市の「国家戦略農業特区」と、豊岡市の「コウノトリ育む農法」へ。

 養父市農業特区は以前から感心のあった事業。今日は市長が直々に熱い思いを語ってくれた。全国的にもそうですが、養父市は中山間地域にあり、耕作放棄地の拡大、人口減少が進んでいる。そこで養父市は国の国家戦略特区メニューにある農業特区に手を挙げた。農業特区に指定されると企業が農地を所有し、営農することができるようになる。農業に企業が参入することによって耕作放棄地を減少させ、「農」を通して雇用を生み出し、人口減少に歯止めを掛けよとする戦略です。既にオリックス㈱など11社が参入しています。ただ、仮に企業参入によって収益があがる農業ができたとしても中山間地で住民と農地を切り離して中山間地に永住する人が増えるか???規模拡大した農地で収益が悪化し企業が撤退した場合、その農地は誰が管理するのか???など「農業特区」には疑問がいっぱい・・。

 豊岡盆地で行われている「コウノトリ育む農法」は素晴らしかった。コウノトリは食物連鎖のトップにあり、農薬の影響を受けたプランクトンからコウノトリに至るまでに約8万倍の生物濃縮があるとのこと。1970年代に農薬を原因に国内コウノトリは全滅。

兵庫県立コウノトリの郷公園

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこで、2005年から県が推進している事業が無農薬、有機栽培の「コウノトリを育む農法」です。当時、県職員である農業改良普及員が農薬を使わない農法を農家にお願いしたところ「農薬を使わないなんて無理!農家よりコウノトリの方が大事なのか!」と、農家の方から随分と怒られたそうです。県が推奨した農法は、冬場の遊んでいる農地に水を入れ、水を入れる事によって、農地に生物多様性を起こします。冬場に農地に水を張ることによって、カエルの数が6000匹~10000匹増え、そのカエルが稲穂の斑点米の原因となるカメムシを大量に駆除するそうです。同時に、獰猛な肉食であるコウノトリの餌を確保することもできます。農業改良普及員は、農家の皆さんに納得してもらうため、カエルのお腹からカメムシを大量に出して、農薬を使わなくてもカエルがカメムシを駆除することを証明したとのことです。「熱意より、データをもって農家の皆さんに納得してもらった」と、県職員。現在では無農薬、有機栽培のコウノトリ米は通常のコシヒカリの1.9倍の付加価値がついてブランド化に成功しつつあるとのこと。県職員でもある農業改良普及員のプロフェショナルぶりに感動。

豊岡盆地で行われている無農薬、有機栽培農地。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TPP対策としての農地大規模化は徹底したコスト削減競争によって、美味しく安全な農産物ができるとは思えない。農産物に付加価値をつけるブランド化は、地元の新鮮で安くて美味しい農産物を地元住民が口にできなくなる。兵庫農業を守り育てるためしっかり学習しなければ..と改めて考えた自治体学校でした。

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