平和憲法9条守る力 姫路から強く大きく
以下、自治体研究社発行の「住民と自治」リレーエッセイ欄へ投稿しました。
ポストコロナ社会は命とくらしが大切にされる県政への転換を
兵庫県会議員 入江 次郎
国は1960年代~2015年までの間、全国総合開発計画=いわゆる全総計画を第5次にわたり、半世紀以上にわたって推進してきました。
全総計画の目的として一貫して貫かれたのが「地方において開発を促進すれば、地方への企業立地が進み、地方に人口が定着し、東京一極集中が是正される」というものでした。
中曽根内閣で閣議決定された1987年~2000年の4全総ではアメリカへの完全屈服ともなるプラザ合意をもとに、内需対策として10年間で1,000兆円にもなる公共投資が行われました。
全総計画への評価として識者からは「3全総以前までは全総が地域格差の是正や全国のインフラ整備に果たした役割は大きいが、その後は道路を造りすぎるなど罪があった」「日本列島の過疎過密の解消が未だできないことから全総計画は失敗であった」との声が挙がっています。
兵庫県では3全総以降の主な事業として、3全総で但馬モデル定住圏構想、西播磨テクノポリス構想、4全総で但馬空港、北近畿豊岡自動車道路、中国自動車道姫路鳥取線、新名神高速道路、5全総では現在整備・計画中の山陰近畿自動車道(浜坂道路)、東播磨自動車道、大阪湾岸道路西伸部、名神湾岸連絡線、さらには和歌山県と淡路島、神戸空港と関西国際空港をそれぞれ連結する構想が掲げられ「ひょうご基幹道路のあり方」にも初めて掲載されました。
このように、歴代兵庫県政は国の言われるままに全総計画に首までどっぷりつかって推進してきた結果、高速道路の延長距離は北海道に次いで全国2番目、企業誘致件数も全国トップクラス。しかし全総計画の最大の目的であった東京一極集中は是正されるどころか、ますます加速するばかりです。兵庫県地域創生戦略(2015~2019)では、人口流出抑制は2019年に1208人の転入超過を目標としていましたが、東京への転出先を最大に7260人の転出超過となりました。転出超過数は全国ワースト3位です。
2021年1月28日現在、コロナ禍によって兵庫県の医療現場は崩壊寸前です。2011年兵庫県新型インフルエンザ対策検証報告書では「相談に従事する保健師等が不足した」「パンデミックの際の臨時感染症病床が確保できていない」等々の指摘がされました。しかし、県は2011年以降も保健師を3割削減し、兵庫県地域医療構想では急性期病床を2018年比で2025年までに8639床削減するとして、コロナ禍でその責務と役割を最大限発揮している公立公的病院をターゲットにした病院統廃合計画を推進しています。
2020年7月にまとめられた『ポストコロナ社会兵庫会議』の提言では「一極集中型の脆さを明らかにした」「過去30年の経済至上主義の矛盾が顕在化」等々、新自由主義の修正や、格差拡大の見直し求める提言が識者から次々と出されました。
ポストコロナ社会は破たんした全総計画を追随する大型開発推進と大企業優遇し生産性と効率を最優先する県政から、命と暮らしが大切にされる県政への転換が必要です。
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