平和憲法9条守る力 姫路から強く大きく
22日、消費税を増税しながら、増税分を社会保障の充実として、急性期病床を削減し、公立公的病院の統廃合を進め地域医療構想を推進する予算など、令和3年度兵庫県一般会計予算案などについて反対の立場で討論を行いました。
以下全文
日本共産党議員団を代表し、上程中の第1号議案、第2号議案、第4号議案、第5号議案、第7号議案、第10号議案、第15号議案ないし第18号議案、第20号議案ないし第24号議案、第26号議案、第28号議案、第29号議案、第34号議案、第39号議案、第40号議案、第42号議案、第44号議案、第52号議案、第55号議案ないし第62号議案、第65号議案ないし第67号議案、第78号議案、第81号議案ないし第83号議案、第88号議案ないし第94号議案、第96号議案ないし第98号議案について、反対の立場で討論をおこないます。
はじめに、第1号議案「令和3年度 兵庫県一般会計予算」について、関連して第16号議案「令和3年度兵庫県病院事業会計予算」、第29号議案「職員の給与などに関する条例及び公立学校教職員等の給与に関する条例の一部を改正する条例」、第40号議案「兵庫県学校教職員定数条例の一部を改正する条例」、第44号議案「兵庫県行財政運営方針の変更について」です。
反対の第一の理由は、新型コロナウイルス感染症の影響によって財政状況が厳しい中にあっても大型開発と不要不急の高速道路建設を推進する予算になっているからです。
令和3年度から令和9年度にかけて総額330億円の要調整額が生じることが見込みまれており、さらなる財政が圧迫される懸念が生じています。
それにもかかわらず、県は、行財政運営方針案の中で、今年度コロナ禍の影響によって事実上進まなかった県庁舎等再整備計画について、総事業費700億円を見込み、それが財政上大きな圧迫となっています。
県庁舎等再整備計画基本構想では、JR三宮駅と元町駅周辺との周遊性を高めるとしていましたが、JR西日本はコロナ禍による影響によってJR三宮駅再整備計画については白紙にすると表明しました。また、インバウンド頼みのラグジュアリホテルなどの誘致計画についても、今後のインバウンドの動向が全く見通せない中でコロナ前の基本構想をそのまま推進するのはあまりにも無理があります。県庁舎等再編整備計画については、財政フレーム上からも、ポストコロナという視点からも、いったん白紙にもどし、財政も含めゼロベースで検討するべきです。
さらに来年度予算案には、播磨臨海地域道路計画調査費、東播丹波連絡道路関連調査費などが計上されています。しかし、いま行財政運営方針でギリギリの財政運営をせざるを得ないのは、創造的復興と称した空港や高速道路事業による震災関連県債への対応などにもとづくものです。そうした状況のなかで、基幹道路八連携軸構想をすすめ、財政状況をさらに圧迫させることに県民の理解は得られません。
反対の第2の理由は
頻発する大規模災害、発生頻度が高まっている新型感染症ウイルス対策などに必要な人員が求められているにもかかわらず、平成30年4月の定員配置を維持するなどとした、行財政運営方針を推進する予算になっているからです。
平成21年に大流行した新型インフルエンザでも、新型コロウイルス第1波・2波でもそれぞれの検証報告書によって保健師不足が指摘されました。しかし、県は行革の名のもと保健師を削減し続けてきました。
さらに新年度、国は地財計画上兵庫県に対し、保健師18名と、その他薬剤師や獣医師資格を持つ事務職員2~3名を財政上措置しているにもかかわらず、県は新年度予算案で保健師7名しか増員していません。
さらに土木部門でも人員不足が過去の大規模災害検証報告書で指摘されています。
金沢副知事は、兵庫県将来構想研究会の中で「全く想像していなかった事態を迎えている。ひょっとしたら南海トラフは終わっっているかというような気持ちもあったが、ただよくよく考えてみればこのビジョンの視野に入れている世界は(2050年)、ひょっとしたらパンデミックを2,3回経験したそういう社会になっているかもしれない」と、ご挨拶されています。
いつ起こってもおかしくない南海トラフ等の大規模災害、発生頻度が高まっている感染症パンデミックに備えた人員配置が必要です。
さらに、行財政運営方針に基づき、小中高における速やかな少人数学級の実現が求められているにも関わらず、児童生徒の減少を理由に74名の法定教職員を削減することは認められません。また、一般職及び教職員の手当削減、任期付き研究員、特定任期付き職員の手当削減など、職員のモチベーションの維持・向上のためにも職員給与の引き下げは認められません。
県営住宅整備・管理計画の見直しに合わせて、管理戸数の削減を進めること、また、佐用・養父、豊岡北警察署の統廃合とともに、都市部での交番の廃止・再編等が検討されています。地元の理解を得られていない統合再編はやめるべきです。
反対の第3の理由は
消費税を増税しながら、増税分を社会保障の充実として、急性期病床を削減し、公立公的病院の統廃合を進め地域医療構想を推進する予算になっているからです。
新型コロナウイルス感染症の影響で、例えば県立加古川医療センターの病床利用率を令和元年度と令和3年1月を比較すると81%から46%まで低下しました。これは一般患者の入院を制限せざるを得なかった結果です。
Ccc-hyougoは令和3年1月に209件の入院調整を行いましたが、その内の184件、約9割が保健所区域外での入院調整となりました。
さらに、県の対処方針では「高齢者福祉施設等の入所者が感染した場合、入院または宿泊施設での療養を原則とする」としていますが、高齢者施設での感染者の多くが入院することができずに高齢者施設での留め置きとなりました。一般医療機関でもクラスターが発生した際にはその多くで、コロナ対応病院への転院がかなわず、留め置きになり、職員・患者の間でさらに感染が広がり、入院・外来診療をストップせざるを得ない状況に追い込まれました。
一般患者もコロナ患者も必要な医療を受けるための入院が圏域内でも圏域外でもできませんでした。それにも関わらず、新年度から圏域内での調整会議を開催し、県内で急性期病床を1万床削減し、コロナ禍の元でその役割と責務を大いに発揮した公立公的病院を統廃合しようとする地域医療構想を推進する予算は認められません。
また、県立がんセンターの建て替えにあたり、病床数を400床から360床へ削減することも認められません。
新型コロナウイルス感染症に対する予算も不十分です。感染拡大のリバウンドが始まりつつあるなかで、感染すると重症化するリスクのある医療機関・高齢者施設などでの少なくとも職員を対象とした定期的なPCR検査が必要です。また、第一義的には国が措置すべきではありますが、医療機関への経営支援を県独自で行い地域医療を守るべきです。
反対の第4の理由は
大企業呼び込み型の地域創生戦略になっているためです。
兵庫県第1期地域創生戦略では戦略目標の大きな柱である、自然増対策・社会増対策ともに目標指数を大きく下回りました。
兵庫県子ども子育て会議では「奨学金で大学を卒業した女子大生は、多額の返済に迫られ結婚どころではなく、これが未婚化・晩婚化の一因となっている」「未婚化・晩婚化・晩産化の要因として、若者が奨学金で大きな負債を負っていることが考えられる」と、指摘しています。
県資料では既婚者が希望する子の数は2,32となっていますが、実際の数は1,94人と大きなギャップがあります。奨学金返済支援金の抜本的拡充など、若年者、子育て世代を支援し希望する子の数を実現させるインパクトのある施策の打ち出しこそ必要です。
大企業呼び込みと大型開発推進では東京一極集中是正はされませんでした。
地域の一次産業や中小企業をしっかり支援し、若者や子育て世代への直接支援を大幅に拡充する地域創生戦略への抜本的転換を求めます。
反対の第5の理由は、改訂された「農林水産ビジョン2030」についてです。
改定された「農林水産ビジョン2030」は、TPPなど、貿易自由化に対応するための「ブランド化」「法人化」「大規模化」などに偏っており、兵庫県農業の基盤となる小規模農家への直接支援などの施策があまりにも乏しいと言わなければなりません。小規模・家族経営農家を支える施策の充実を求めます。
また「兵庫県地球温暖化対策推進計画」が改定されましたが、2050年の温室効果ガス排出実質ゼロに向けた2030年目標は、2013年比38%削減とあまりにも低すぎます。本気で2050年実質ゼロを目指すのであれば、新設を含めた石炭火力発電所の廃止・中止などを含め、排出量の65%を占める産業部門での実効ある削減策が求められます。
反対の第6の理由は教育予算についてです。
教育予算は、2020年度より削減され、県予算に占める割合も13.5%とまで減少しています。コロナ禍で子どもたちにきめ細かな対応が求められている中で、予算の拡充が必要です。私学経常費補助は、交付税措置が増額されたとして、これまで県独自で行っていた授業料軽減補助などを削減しました。私立高校学費の実質無償化へ努力すべきです。
競争教育につながる学力テストよりも、コロナ禍で不安を抱える子どもをサポートし、一斉休校で遅れた学習を丁寧に行う体制こそ求められています。
県教委は、県立高校生徒用コンピューター端末機器貸与について、低所得者世帯の12000台分については端末機器を無償貸与することとしましたが、ICT教育の充実のためにも経済的格差を生まないためにも高校生全員に端末機器を準備すべきです。
次に、第2号議案「令和3年度兵庫県県有環境林等特別会計予算」、関連して第4号議案「令和3年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計予算」についてです。
環境林特別会計予算では、約10億円の新たな取得費が計上され、一般会計の繰り入れなどから宝塚新都市玉瀬3用地、中里用地(旧グリーンピア三木内)、小野市山田用地、あわじ石の寝屋緑地などの借金返済のために約70億円が公債費特別会計へ繰り出されています。
また、公共事業用地先行取得特別会計予算では、用地先行取得事業費として30億円が計上され、小野市場用地等の用地費にかかる起債償還のための公債費特会への繰り出しがあります。
過去の先行取得用地の失敗や、未利用地の時価評価について県民に明らかにしないまま、県有環境林事業という曖昧な事業のための新たな予算づけは認められません。
次に第5号議案「令和3年度兵庫県営住宅事業特別会計予算」についてです
県営住宅の建て替えは必要ですが、戸数削減を伴う建て替え事業であり、賛同できません。
次に第7号議案 「令和3年度庁用自動車管理特別会計予算」についてです
2019年8月に、知事と議長の公用車をレクサスから国産最高級車センチュリーに変更したことに伴い、2台のリース借り上げ料が約2倍に膨れ上がり、県民からの批判が広がっています。車種変更による支出増を含む予算は、認められません。
次に第10号議案 「令和3年度兵庫県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算」についてです。
福祉的な対応が必要な事業であるにもかかわらず、貸付金の回収を民間委託していることに反対です。
次に第15号議案「令和3年度兵庫県国民健康保険事業特別会計予算」についてです。
国民健康保険事業では、来年度から、市町の納付金の算定に医療費水準を反映させない改定が行われますが、高齢化の進展により避けられない医療費の増加を公費で支えるのではなく、県内市町全体に痛み分けとして負担を課すもので、認められません。
また、保険料の高騰を抑えるために市町が行ってきた法定外繰入を解消させることを引き続き推進しています。2017年度は7市で15億6,000万円あった法定外繰入は、2020年度には3市で8億1,000万円へと半減しました。
その結果、保険料引き下げのために行ってきた法定外繰り入れに対しぺナルティを課したことによって1人当たりの平均保険料額は2018年度には9万453円だったものが、2020年度には9万4,680円へと保険料は引き上げられました。
また、保険者努力支援制度で、収納率の多寡などで特別交付金が算定され、自治体を保険料徴収強化へ駆り立てています。
国費投入による保険料引き下げ、均等割の廃止など、制度の抜本的見直しが必要です。
第17号議案「令和3年度兵庫県水道用水供給事業会計予算」についてです
過去の過剰な水需要予測による施設整備や二部料金制により、全国水道用水給付団体21府県営中2番目に高い水道料金を市町に押し付けていることから反対です。
第18号議案「令和3年度兵庫県工業用水道事業会計予算」についてです
大企業に不当に安い価格で料金が据え置かれているため認められません。
第20号議案「令和3年度兵庫県地域整備事業会計予算」について、関連して第81号議案「公の施設の指定管理者の指定(淡路交流の翼港港湾施設)」第83号議案「兵庫県立淡路夢舞台公園第3施設」第96号議案「兵庫県立淡路夢舞台国際会議場」のそれぞれの指定管理者の指定についてです。
県は、一般財源は使わず、県民に負担をかけるものではないと、この間開発事業を進めてきました。しかし、コロナ禍によって淡路国際会議場やホテル経営の財務状況が急速に悪化しています。日本共産党は、地域整備事業について、公金を投入する事業ではないと、採算性も含め、当初から反対してきました。また、個々の事業の収支も明らかにされていないため認められません。
第21号議案「令和3年度兵庫県企業資産運用事業会計予算」についてです。
三ノ宮駅周辺の再開発事業については、地域の中小企業や住民から反対の声が出されています。三ノ宮駅周辺の再開発事業について、サンパルの地権者の立場で神戸市とともに推進することは認められません。
第22号議案「令和3年度兵庫県地域創生事業会計予算」についてです。
小野産業団地には小野長寿の郷構想の一部が含まれており、すでに医療・福祉機関が進出しています。構想見直しの検証も、報告も県民に対し十分にされていないまま産業団地事業を進めるのは問題です。
第23号議案「令和3年度兵庫県流域下水道事業会計予算」、第42号議案「流域下水道事業についての市町負担額の決定」についてです。
流域下水道事業は公営企業会計となり、施設の改善などの費用が使用料負担という名目で市町の追加負担となることから反対です。
第24号議案「使用料手数料徴収条例及び阪神・淡路大震災記念人と防災未来センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」について
本議案には、コンパクトシティ構想に基づく条例改正が含まれています。コンパクトシティ構想の下、誘導地区を定め、病院や店舗などの日常生活に必要な施設を建設する際に、容積率、用途制限の緩和を可能にするものです。コンパクトシティ構想では、地方の過疎化をますます進め、街づくりに著しい影響を及ぼす恐れがあり、賛同できません。
第26号議案「知事の権限に属する事務に係る事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」について
本議案には、特定の民間再開発事業にかかわる租税特別措置法施行令が含まれています。
政令の引用条文を改めるだけということですが、そもそも民間再開発事業に問題があります。土地を譲渡する個人への軽減措置もありますが、法人の優遇税制があります。適用対象地域や要件を見ると相当大きな開発が可能となっており、それによって、大規模再開発にかかわる民間大企業、大手不動産、デベロッパーなど大規模事業者を税制措置などで優遇することになることから問題です。
第28号議案「職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
本議案は、1年単位の変形労働時間制を教職員に導入するもので、一日8時間労働という労働条件の原則を壊すもので、導入には各界からも反対の声が多く挙げられています。
全国調査では現在、月45時間以上の残業をしている教員は小学校で57.8%、中学校で74.2%という過酷な実態です。この長時間労働が改善されないままでの変形労働時間制の導入は認められません。また、学期中を「繁忙期」にすること自体が長時間労働を固定化するものです。教職員の業務の多忙化、超過密労働、長時間労働の実態は深刻で、教職員の人間らしい働き方、豊かな教育実践を展開するためには、教職員を抜本的に増員することこそ必要です。
第39号議案「国営土地改良事業負担金徴収条例の一部を改正する条例」について
本議案は、農家負担分の一括払いができるようにするものですが、そもそも国が責任を負う国営事業であり、市町や農家に負担を求めるべきではありません。
次に公の施設の指定管理者の指定と関連する条例についてです。
総務省自治行政局長は、指定管理者制度の運用につて「公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があるとみとめたとき」「雇用・労働条件への適切な配慮がされるよう留意すること」などを各自治体へ通知しています。総務省通知も踏まえ以下反対理由を述べます。
第34号「兵庫県立但馬長寿の郷の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」については、新たに但馬長寿の郷の管理を指定管理者へ委託しようとするものです。それに関連して第65号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立但馬長寿の郷)」で契約を締結しようとするものです。
続いて第52号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立神出学園)」について、第55号議案「兵庫県福祉人材研修センター」、第56号議案「兵庫県福祉センター(視聴覚障害者情報提供施設を除く)」、第57号議案「兵庫県立リハビリセンター」、第58号議案「兵庫県立のじぎく会館」、第59号議案「兵庫県立こども発達支援センター」、第60号議案「兵庫県立障害者スポーツ交流館」、第61号議案「兵庫県立福祉のまちづくり研究」、第62号議案「兵庫県立障害者スポーツ交流館」、第78号議案「姫路港網干沖小型船舶係留施設(網干沖ボートパーク)」、第88号議案「兵庫県営住宅(神戸地区(西区・明舞地区をのぞく。)」、第89号議案「兵庫県営住宅(北播磨地区・西播磨地区・但馬地区・丹波地区・淡路地区))」、第90号議案「兵庫県立奥猪名健康の郷」、第91号議案「兵庫県立武道館」、第92号議案「兵庫県立文化体育館」第93号議案「兵庫県立円山川公苑」第94号議案「兵庫県立神戸西テニスコート」、第97号議案「兵庫県災害医療センター」、第98号議案「兵庫県立リハビリテーション中央病院、兵庫県立リハビリテーション西播磨病院」の、それぞれの指定管理者の指定について、そもそも、公の施設は、住民の福祉の増進を目的とし、公的に責任を持つべき施設であり、指定管理にすることに賛同できません。
次に第66号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立姫路労働会館)」、第67号議案「兵庫県中央労働センター」についてです。
平成25年4月に労働契約法が改正され、契約社員など雇用期間の定めのある非正規労働者が、5年以上連続して反復更新した場合、契約社員からの申し出によって期間の定めのない無期雇用契約へ転換させることが使用者に義務付けられました。
しかし、勤労者福祉協会は労働契約法改正に併せて、嘱託職員設置要綱を改正し「契約期間は1年、繰り返し更新する場合であっても5年を限度とする」と、しました。しかし、嘱託職員の多くが企画・会計・経理などの本格的・恒常的業務に8時間フルタイムで配置されているにもかかわらず、5年を限度に雇い止めされてしまいます。
本格的・恒常的業務には正規職員を配置するか、労働契約法改正の趣旨に沿って5年以上反復更新した場合は無期雇用への転換を認める要綱へ改正すべきです。
労働者の福祉増進を目的とする勤労者福祉協会が無期転換逃れとも言える脱法的手法で、指定管理者に指定されることは認められません。
最後に第82号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立明石公園等2施設)」について
利用料金制により、議会の承認を経ることなく公園内のテニスコートの利用料金が値上げになることから反対です。
以上で、討論を終わります。ご清聴ありがとうごじました。
【予算特別委員会総括審査】 17日、予算組替え提案を行いました。検査拡充、保健師増員、小6までの35人以下学級、高校1年生全員へのタブレット無償貸与、温室効果ガス削減強化事業、ジェンダー平等促進事業費など
以下、予算組み替え提案の全文
日本共産党県会議員団の入江です。日本共産党の2021年度兵庫県予算案の編成替えを求める動議について、提案説明を行います。
知事提案の新年度予算編成は、民間消費の低迷や企業業績の悪化などから税収減が見込まれる一方、臨時的な対応としてシーリングの強化や事業数の削減など、施策の選択と集中を行ったとされています。コロナの影響もあり、県庁舎等再整備基本計画が次年度に繰り越され、但馬空港の機能強化や、大規模アリーナ整備などの検討が持ち越されているのは当然で、中止も含め、白紙からの検討が必要と考えます。
一方で、総事業費5000億円ともいわれる播磨臨海地域道路、東播丹波連絡道路など基幹道路八連携軸など新たな投資事業を推進しながら、コロナ禍から県民の命を守るための医療・衛生体制については、十分な拡充がされておらず、県民の暮らしや生業を立て直す施策は乏しいものとなっています。
日本共産党県議団は、県提案の2021年度予算案を県民の立場からチェックするとともに、県民の願いにこたえる予算として、21年連続となる、予算組み替え動議を提案するものです。
組み替えでは、まず全体の規模は、一般会計で見直しが必要な事業78項目、合計412億円(約1.5%)を減らし、そこから生み出された一般財源、特定財源など約111億円を、新型コロナウイルス感染症緊急対策、職員定数、気候変動対策、子育て・高齢者への支援、教育の充実、中小企業、小規模農業支援など28項目の増額に充当しています。また、県債の発行額を、一般会計と2つの特別会計で、230億円抑制しています。
それでは、主な内容について説明いたします。
第1の柱は、新型コロナウイルス感染症対策です。
わが党は、新型コロナウイルス感染症対策について、11次にわたる申し入れをおこなってきました。知事提案予算案では、国庫を財源とする検査・医療体制充実や中小企業支援などの予算が一定反映されていますが十分とは言えません。組替え提案では、無症状感染者を見つけ出すための医療・高齢者施設等の職員等への頻回・定期的検査、隠れた感染源早期探知のためのモニタリング調査の促進など、新型コロナウイルス感染症対策への予算を新たに10億円計上しています。
第2の柱は、人員配置の強化です。
新型コロナウイルス感染拡大への対応では、その要となる保健師などの職員を削減してきたことが、大きな影響を及ぼしています。国は、来年度の保健所職員の増員の交付税措置をおこない、兵庫県では、保健師18名、それ以外の職員2名~3名の増員分が見込まれているにもかかわらず、実際の保健所職員の増員は、7名にとどまっています。組替え提案では、保健師の増員を7名から18名に、11名分を上乗せする予算を計上しています。
また今年は、阪神淡路大震災から26年、東日本大震災から10年となります。南海トラフ地震も間近といわれるなか、その備えの要となる土木職員も、行革で削減され、慢性的な人手不足におちいっています。組替え提案では、全ての土木事務所に1名の増員、13名分を増員する予算を計上しています。
第3の柱は、地球規模の気候変動対策です。
兵庫県は、新・兵庫県地球温暖化対策推進計画の検討をすすめており、2050年の二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すとしていますが、そのための中間目標である2030年度の削減目標は2013年度比で最大38%にとどまっています。2050年の実質ゼロのためには、2030年度目標をさらに引き上げることが求められます。
そのために組替提案では、産業部門での実効ある削減措置や兵庫県から新設も含めた石炭火力を禁止するための予算を新規で計上しています。また県の自然エネルギー地域ポテンシャル調査事業費として600万円を充て、「家庭における省エネ支援事業」「住宅用太陽光発電設備設置補助事業費」の対象件数を引き上げる増額を行いました。
第4の柱は、子育て支援を強めるための組み替えです。
川西市が今年7月から中学3年生までのこどもの医療費無料化にふみきり、これで県内41市町中36市町が、中学3年生までの子どもの医療費無料化にふみだすことになります。組替え提案では、全県で、中学まで、通院・入院とも所得制限なしで無料化にするため、県市町の共同事業として、必要額約62億円の半額、約31億円を計上しています。
高すぎる国民健康保険料引き下げるため、子育て施策として、18歳未満の子どもの均等割を県負担1/2、市町負担1/2で減免する制度を創設し、12億円を計上しました。
また第3次行革で所得制限の強化、一部負担金の増額が行われた母子家庭等医療費助成費は、第3次行革前に戻すために、1億6800万円増額しています。
第5の柱は、医療・福祉分野への支援を強めるための組み替えです。
とくに行革で削られた福祉医療制度の復活をおこないます。
老人医療費助成制度を復活させ、重度障害者(児)の医療費助成は、所得制限の世帯合算方式をやめる予算に増額します。難病患者の医療費について、国の制度改変によって有料化された非課税の患者自己負担額を無料に戻すため4300万円を増額します。
老人福祉対策として、一昨年、意見書として国に提出した加齢性難聴者補聴器購入補助について県制度を制定し、1人あたり平均4万円を5000人に補助できるよう2億円を計上しました。
また看護師確保事業として、看護師学生など就学資金支援金制度を創設し、1人年間50万円を60人対象に支給する制度として、3000万円を計上しました。
第6の柱は、教育分野の支援を強めるための増額予算です。
国は、40年ぶりに学級標準編成を変更し、小学校を35人以下学級にするために、来年度2年生の少人数学級のための財政措置をおこない、それに伴い各県でも、独自の少人数学級をすすめようとしていますが、兵庫県は、現状の小学4年生にとどめたままです。組替え提案では、小学校5,6年生の35人以下学級を実施するために、教職員225人を増員し、小学校職員費を約16億4500万円増額しました。
さらにコロナ禍において、高学費や生活費で苦しむ学生がひろがっているなか学費無償化、教育費の支援は喫緊の課題です。
国の高等教育修学支援新制度が行われていますが対象人数があまりにも少なく、求められる現状にこたえるものとはなっていません。
県独自の高等教育修学支援制度を創設し、年間36万円を750人に給付するため、2億7000万円計上しました。
また、私立高校の授業料軽減補助について、国や県の私立高校無償化措置で年収590万円未満世帯者は、兵庫県の平均授業料40万8000円が補助されていますが、組替え提案では、年収590万円世帯~910万円未満世帯にそれぞれ補助を2万円上乗せし、1億4000万円を増額します。
コロナに伴い学校でのICT化がすすんでいますが、県が2022年度から高校生には、自費でタブレットを用意することを要請することに、県民から大きな批判が寄せられました。県は、新たに12000人分貸与できるようにしましたが、不十分です。組替え提案には、来年度の高校1年生全員にタブレットが行き渡るように、19億3500万円を計上しました。
第7の柱は、中小企業、小規模農家支援です。
とりわけ中小企業に対し、融資ではなく直接支援が必要と考え、施策の充実をはかりました。
ひとつは、ひょうご男女いきいきプランが改定されましたが、県内における女性の社会進出は、遅れています。組替え提案では、女性の正規採用や管理職への登用を促進するためにジェンダー平等促進中小企業支援事業を立ち上げ、1億円を計上しました。
京都府と連携して行っている「兵庫型奨学金返済支援制度」については、一人当たりの支援額を3万円上乗せするために、2100万円増額しました。
県内市町でも大きな実績をあげている中小企業店舗リフォーム助成事業、民間住宅リフォーム助成制度を新設し、あわせて1億2千万円を計上しています。
中小企業振興のために中小企業者団体なども参加し、双方向で知恵をだし、意見交換ができる中小企業振興会議費を新たに計上しました。
兵庫農業の基盤を底辺から支えるのが、家族経営など小規模農家です。国連が2019年に「家族農業の10年」をスタートさせているように、小規模・家族農業支援の充実が必要です。組替え提案では、とくに中山間地の小規模農家を支援するために、小規模農家公的サポート事業として、5000万円の予算を確保しました。
第8の柱は、過大性や問題点を見直した公共事業や、大企業呼び込みのための産業立地補助金など削減した予算についてです。
コロナ禍においてますます過大な見込みとなった基幹道路八連携軸として調査費等が計上されている、播磨臨海地域道路や東播丹波連絡道路事業、大阪湾岸道路西伸部整備事業支援、また園田西武庫線などの道路関連事業費について約130億円、国が負担すべき国直轄の公共事業について約100億円を削除しました。
本社機能誘致など、呼び込み型の企業誘致に頼った地域経済の振興策には限界があります。パナソニック尼崎の撤退によって、失敗が明らかになっている産業立地促進補助約19億円を削除しました。
また地域創生推進事業費は、一部の事業を見直し、約7億円減額しました。
不公正な同和行政が残る事業、マイナンバーや住民基本台帳ネットワーク関連事業、過大な情報ハイウェイなどの予算も見直し、削減しました。
県会議員の海外視察についても友好都市訪問の公式行事のみとし、人数も限定するなどの簡素化で半減しました。
以上が予算組み替え提案の主な内容です。
新型コロナウイルスの新規陽性者数は、再び増加に転じています。
新型コロナウイルス感染症対策を強化し、気候変動、災害への備えを強め、県民の命と福祉・くらしを守り、だれもが安心して暮らせる兵庫県とするための日本共産党兵庫県議団の組替え提案に対し、委員各位のご賛同を心からお願いいたしまして、提案説明を終わります。ありがとうございました。
消費税五%への減税、法人税収の引き上げを
歳入について、入江議員は、前年比九百十九億円の減となった県税等収入について質疑。前年比五・二%減の二千三百十二億円を見込んでいる地方消費税について、「コロナの影響だけでなく、二〇一九年十月の消費税の一〇%増税の影響で、経済が縮小し、個人消費が冷え込み、税収にも影響しているのではないか」とただし、「苦境にたつ中小、小規模事業者支援策としても五%への減税を行うべきだ」と求めました。
県当局は、「社会保障の充実、財政構造の安定化のために、地方消費税収は必要。増収分は社会保障充実の財源となっている」と、消費税五%への減税に背を向けました。
入江議員は、一方で、二〇二一年度の税制改革において、研究開発減税の拡充やDⅩ投資促進税制など大企業向けの減税が行われていると指摘。兵庫県の影響額を問うと、「二千三百万円の減税となる」と答弁しました。
入江議員は、「苦境に立つ中小事業者には、赤字でも消費税の支払いをうながしながら、大企業には減税を行い優遇するのは、コロナ禍から暮らしと営業を救うのとは逆行しているのではないか。税収について、地方消費税収は全体の三二・八%も占めるのに、法人関係税はわずか一九%。九〇年代には、四〇%を占めていた法人税収を引き上げるために、大企業減税をやめさせ、応分の負担を求めるべきだ」と主張しました。
入江議員は、地方財政計画による保健師等保健所職員の増員等について質疑。入江議員は、「国は、地方財政計画にもとづいて、保健師等の保健所職員について標準団体(人口百七十万人、九保健師)で感染症保健師を六人、感染症以外の保健師を八人、保健師以外の保健所職員を二人増員し、交付税措置を行っている。兵庫県で、それぞれ、何人の増員が見込まれるのか」と問いました。
県当局は、「感染症保健師は八人、感染症以外の保健師は十人、保健師以外の職員は、二~三人となる」と答弁。さらに、実際の増員数を聞くと「七人」と回答しました。
入江議員は、「感染症対策において、保健師職員は要となっている。それ以外の保健師職員も含め、少なくとも国の措置どおりの増員、七人のみではなくせめて二十人以上の増員を行うべきではないか」と要求。県当局は、さらなる増員への言及は行いませんでした。
入江議員は、「消費税増税による増収分は、全額社会保障に使っているというが、そのメニューの中に、来年度からダウンサイジング支援金など、地域医療構想に基づく病床削減メニューが入っている。なぜか」とただしました。
当局は、「地域完結型医療のために必要」などと答弁しました。
入江議員は、「このコロナ禍において、ベッドが足りないといわれるときに、誰が、消費税を払って、病床削減をすすめてほしいというのか。県民からは到底理解されない。地域医療構想にもとづく病床削減はいったん中止し、必要な社会保障にまわすべきだ」と迫りました。
8日、予算特別委員会 企画県民部部局審査で、大企業呼び込み型の地域創生でなく、第一次産業と中小企業を大切にし、若年層・子育て世代を応援する施策を求めて当局を質しました。
兵庫県第1期地域創生戦略では戦略目標の大きな柱である、自然増対策・社会増対策ともに目標指数を大きく下回りました。これでは将来の兵庫の目指すべき展望がまったく見えてきません。
第1期戦略では自然増対策について、出生数は毎年4万4千人を維持すると目標に掲げました。しかし、2015年のスタート時に44,706人の出生数だったものが年々出生数は低下し令和元年は初めて4万人を割り込み38,658人へと大きく落ち込みました。合計特殊出生率についても2015年度実績値1,48だったものがここでも年々低下し令和元年には1,41へ、目標数値1,54を大きく下回りました。
社会増対策については、第1期戦略目標で2016年の7,092人の転出超過から2019年には1,208人の転入超過へと転じる目標を掲げていましたが、逆に2019年は7,260人の転出超過となり、スタート時の2016年をも上回る転出超過となりました。
県当局は社会増対策として「女子学生が希望する総合事務職を備えた本社機能を誘致する」としていますが、女子学生が総合事務職を備えた本社機能への就職を求めて東京へ転出しているという明確なエビデンスはありません。
自然増対策として県当局は、「晩婚化の解消」を掲げています。しかし、晩婚化の要因も突き詰めれば経済的要因に行き着きます。それも含めた若年者・子育て支援策が求められているのではないでしょうか。
県子ども子育て会議ではこういう指摘がされています。「奨学金で大学を卒業した女子大生は、多額の返済に迫られ結婚どころではなく、これが未婚化・晩婚化の一因となっている。このような女子大学生が結婚に踏み切れるように支援方策を考えてみてはどうか?」「未婚化・晩婚化・晩産化の要因として、若者が奨学金で大きな負債を負っていることが考えられる。奨学金を給付型にするなどその在り方について検討が必要」と、指摘がされています。
女性の4年生大学への進学率は平成8年ごろから短大の進学率23%を上回り、令和元年は4年生大学進学率は45%となり、短大進学率11.5%を大幅に逆転しています。日本学生支援機構のデータでは奨学金受給率は1996年度の21.2%から直近データのある2018年度は47.5%にもなっています。子ども子育て会議が指摘しているように、奨学金返済の負担が晩婚化・未婚化・少子化に影響与えているのではないでしょうか
明石市では子育て施策の充実によって人口、出生率ともに順調に伸ばしています。一方で神戸市は、2000年には東日本、芦屋市、高砂市を除いたすべての近隣市町から転入超過となっていました。対大阪市についても当時は転入超過となっていました。ところが2017年には、明石市、三木市、宝塚市、西宮市、伊丹市、尼崎市、芦屋市、大阪市、東日本で転出超過となっています。神戸市の2025年ビジョン策定に向けた各種アンケートでは、神戸市に住み続けたくない理由の断トツのトップとなっているのが「子育て環境が整っていない」とのことでした。
県資料では既婚者が希望する子の数は2,32となっていますが、実際の数は1,94人と大きなギャップがあります。奨学金返済支援金の抜本的拡充など、若年者、子育て世代を支援し希望する子の数を実現させる施策こそ必要ではないでしょうか
若い世代が大都会東京へ出たいと思う気持ちは止められるものではありません。一方で、地元兵庫で就職したいと考えている学生が約6割、新卒の離職率が3年で3割という数字もあります。ここに働きかけ地元兵庫で就職してもらう。あるいは、東京へ出て行き離職した若者に地元兵庫へ帰ってきてもらう。ここに強いメッセージと対策を打ち出すことが非常に大事に思います。
これまでも指摘をしてきましたが、大企業呼び込みと大型開発推進では東京一極集中是正と地方の過疎化に歯止めがかからなかったことは明らかではないでしょうか。地域の一次産業や中小企業をしっかり支援し、若者や子育て世代への支援を大幅に拡充する地域創生戦略への抜本的転換を求める。