平和憲法9条守る力 姫路から強く大きく
10~12日、県議会建設常任委員会の視察で鹿児島、熊本へ。港湾整備、ダム事業、南九州西回り自動車道、建設産業総合整備事業、道路老朽化対策、地方空港利用促進などを視察。大型開発だらけの視察でしたが、建設業界への若手入職者の減少や、老朽化対策は近い将来の深刻な課題である事も視察先で報告されました。熊本県では、公共事業投資が最盛期の半分にまで減少し、建設事業者が激減する中で災害復旧にまで支障が生じているとの説明もありました。あらためて思うのは限られた予算の中で地元建設業者が直接受注のできる老朽化対策など維持管理型の公共事業への転換や、建設労働者賃金引き上げのため熊本県でも一時検討された公契約条例の制定が必要です。予算が有り余っているのなら新規インフラ整備も有りうるでしょう、しかし限られた予算の中、先日当ブログでも書きましたが、医療・介護はまったなしの危機的状況です。不要不急の大型開発から維持管理型の公共事業、福祉、暮らしを守る政治への転換が必要です。
鹿児島県庁から見える桜島。
鹿児島県、鶴田ダム(国直轄事業)。現在ダム放流口がダム水位の中間あたりにあるため、近年の豪雨に対応できるようにと放流位置をさらに底部に設置し、豪雨前にダム底部まで水位を下げることによって貯水能力を高めるとのこと・・。最初からと底部に・・。ただ、日本の建設技術には驚くばかり、水の溜まっているダムに放流口を開けるわかですから作業は水深60mの水中です。加圧した個室を水中に沈め、その中で約1ヶ月間地上にあがることなく潜水士が作業をするそうです。(写真要壁裏側がダム湖)
私が目についたのは、ダム要壁内の老朽化です。昭和40年代に建設された鶴田ダムは老朽化によってあちらこちらで鉄筋がむき出しになっています。
鹿児島港
9日、近畿6府県議員交流フォーラムが奈良県庁で開催されました。県議交流フォーラムは毎年1回開催されていますが、新人議員の私は初参加。本会議場で全体討論の後、各分科会に分かれての討論がされ私は表題にある「地域包括ケアシステムの現状と課題」の分科会に参加しました。講師は奈良県立医科大学の今村知明先生、ユーモアも交えながら的確に現状と課題を報告して下さいました。
奈良県庁
県庁の真正面が奈良公園。少し早めに着いたので「鹿せんべい」を買って鹿にあげていたら、そこら中から鹿が走ってやってきて周りを取り囲まれ観光客が通過する中、恥ずかしいやら怖いやら・・。
「地域包括ケアシステム」とは端的にいうと、高齢者が爆発的に増加する2025年を見据え、医療病床・介護施設(国は事実上の医療病床削減、要介護3以上の介護施設入所原則禁止を打ち出している)では対応しきれなくなる患者・要介護者を在宅医療・在宅介護・在宅看取りに転換するシステムのこと。ただ、在宅に転換するとしても、厚労省推計で2025年に全国で介護人材は37.7万人不足、訪問看護師不足については不足人数の推定もされていません。今村先生独自の算出によると奈良県内では看護師が1300人不足し、地域の在宅医療を担う若手医師の確保も非情に困難。という報告がされました。
討論では「看取り」についての活発な議論もsされ、今村先生曰く「(先端医療を駆使し)死ねるもんなら死んでみろ!と、医師がよってたかって延命治療する時代から、延命治療をしない看取りを考えなければならない時代がきている。しかし、それを誰も言い出せない」、共産党和歌山県議は「地域ケアシステムでは、在宅看取りを国が押し付ける形になっている。看取りの考え方は極めて個人的なもの。国民的な議論や家族内での議論が全く不足している」と。全く同感。
今村先生のまとめ報告では「見通しが示せない暗い討論になってしまいました」「医療・介護従事者、家族の全員が痛み分けすれば、最悪の事態は避けられる。痛みを受け入れてもらうのが地域ケアシステム」と。討論を踏まえての率直なまとめをされました。今日の交流会はタイトルの通り、地域包括システムの現状と課題が率直に出され大変勉強になりました。地元でも報告したいと思います。
地域包括ケアシステムの現状と課題 ←プロジェクター資料をPDF化しました。大変わかり易いのでご覧下さい。
7日、英賀保にある入江・森事務所に遅ればせながら「戦争法廃止の政府を」の垂れ幕を設置しました。事務所は県道和久今宿線沿いにあります。事務所前には信号があり、直ぐ先には夢前川にかかる京見橋もあって夕方は渋滞スポットとなり垂れ幕の「目立ち度」は抜群です。
追伸
写真の垂れ幕より少し小さいのですが。縦2m30cm、横73cmの垂れ幕がもう一つあります。「戦争法廃止の政府を」にご活用して頂けるのなら差し上げます。姫路市内限定で・・。ちなみに写真は3m20cm×80cmです。
9月から始まった決算議会が10月30日で閉会しました。日本共産党県議団は、行政改革の名のもと、県民の福祉・くらし・安全をばっさり切り捨てながら大型開発・大企業優先の県政を推進してきた平成26年度兵庫県一般会計決算認定に反対しました。一方で、これまで日本共産党県議団も議員提案してきた「中小企業振興条例」が議員提案され全会派一致で可決成立し、改めて中小業者が兵庫県経済で果たす役割について県議会でも見直されているところです(詳しくは県議会報告でお知らせします)。11月6日には来年度予算要望懇談会が知事、県幹部らと行われます。大型開発優先・大企業優遇の県政から県民の福祉・暮らし・安全が大切にされる県政への転換を求めて頑張ります。
忙しい日が続いています。土日は後援会等の皆さんへの議会報告、生活相談等々・・。本日3日は、午前中地元で行われた「生涯現役の集い」に参加、午後からは平成21年に起こった佐用町大水害の復旧工事がほぼ完了した事を受け、復旧工事で何がされ何が足りていないかなどの検証を住民の皆さんや国土問題研究会(大学教授ら専門家集団)の先生方を交えて意見交換会を行いました。住民の皆さんからは「予算がないと言って、コンクリート堤防にするはずの部分が土盛になった」「河川復旧工事が優先され、河川に至るまでの水路の設計が無茶苦茶」「河床掘削によって井戸水の量が減った」「排水ポンプは1分間に60t排水できる機能があるのに、取水口が小さいため能力に見合った効果を発揮できていない」「流木が引っかからない橋脚の設計が必要」等々・・たくさんのご意見が出され、とりわけ「予算をもっと防災事業に」というご意見が多く出されました。
兵庫県は県債残高が3兆円(臨財債除く)を越え、厳しい財政状況にあることは確かであり平成20年からは新行政改革プランを推進しているところです。土木費も例外ではなく普通会計ベースで土木費の占める割合は行革前には14%あったものが平成26年度には9%へ、地域の安心安全に責任をもつ出先機関である土木事務所は22事務所から13事務所へと統廃合され、土木事務所職員数も993名から756名へと削減されました。職員削減は県職員全体で2割削減が進められており、職員は多忙を極め平成26年度の最長残業時間職員は年間1400時間を越え疲弊しきっています。月平均にすると100時間を越え、過労死ラインを完全に上回っています。
無理な行政改革を進める一方で、不要不急の無駄な大型開発事業は行われその反省もないまま現在も推進されています。但馬空港は乗客見込み数が年間4万7千人あるとして事業着工されましたが、平成26年度実績では2万9千人に留まり毎年5億円の事業補助が県税で支出されています。姫路港広畑港区では年間64万tの取扱貨物量と3万t超の巨大コンテナ船が入港できるようにと40億円以上かけて水深14mバースを整備しましたが、平成26年度実績では取扱貨物量はわずか9万t、3万t超のコンテナ船入港実績は1隻です。高規格国道179号浜坂道路は6分間の時間短縮のために総延長9.6kmに350億円を支出する事業を推進中です。さらに、これまでもお伝えしてきましたが、県は1970年代に計画された播磨臨海地域道路網推進計画(総延長50km、総額5000億~6000億円)を熱心に進めています。平成26年度も約1400万円の推進調査費が支出されました。計画当初の1960年~70年代のGDP平均成長率は年率換算平均10%成長であったものが、2000年代に入ってからはマイナス成長が続いています。同じく60年代から70年代の自動車保有台数は約340万台から1900万台へと約5.6倍にもなっていますが、2005年~15年は7千8百万台から8千万台へとわずか1.02倍に留まっており今後自動車保有台数が減少することは明らかです。また、ご存知の通り人口推計予測でも今後40年間で2~3割の人口減少が推測されています。仮に播磨臨海地域道路網計画が事業決定したとしても、総延長50kmにもなる高規格道路を都市化計画決定→用地買収→事業着手→全線開通するまでには30年~40年はかかります。計画当初の1970年代から推測する30年後の日本社会と、これから30年後の日本社会では経済状況、人口動向など状況は大きく変わっています。もちろん経済停滞や人口減少社会から、活力ある社会への転換策は待ったなしの課題です。しかし、国政でも県政でもむしろそれに逆行する施策ばかりが打ち出されています。
一方で、今後1960年代~70年代に建設された公共施設、インフラ等のコンクリートや鉄の劣化などが、寿命といわれる50年目を迎える時期となり老朽化対策にかかる予算が膨大な額となります。例えば県管理の橋脚は4654橋ありますが、今後10年計画での老朽化対策予定数はわずか324橋で304億円。建設後30年経過した下水道管は52kmありますが今後10年間の老朽化対策予定区間はわずか0.72kmで10億円です。つまり、20年後、30年後にはその他の橋梁、下水管が一気に50年目の老朽化を迎え莫大な予算が必要となってきます。ちなみに平成26年度は兵庫県全体の土木費は約1800億円です。
佐用町住民からは「予算を防災事業に」と、切実な声が寄せられました。老朽化対策にも今後莫大な予算を必要とします。厳しい財政状況のもと需要予測の甘い不要不急の大型開発事業に無駄な予算を投入する余裕は兵庫県にはありません。2009年?に国交省が行った調査では国直轄の大型公共事業では地元建設業者の受注率は、わずか38%に留まっていることも明らかになっています。大型公共事業では鉄と機械とコンクリリートに大半の予算が使われ、大手ゼネコンを潤すだけで地元建設業者への恩恵は限定的です。これからの公共事業は、大手ゼネコンの利益を優先する不要不急の大型開発から、地元建設業者も直接受注でき、地元住民からの切実な願いでもある防災・老朽化対策への転換が必要です。
死者18名、行方不明者2名という甚大な大水害から5年が経過しました。被災された住民の皆さんのお気持ちに寄り添えるまでには到底及びませんが、災害復旧工事がほぼ完了する中でハード面での問題点をわずかながらですがお聞きする事が出来ました。引き続き、地元住民、国土問題研究会の皆さんとも検証作業をすすめ、個別具体的な防災・復旧事業については予算化を求めていくとともに、県予算全体の抜本的転換を求めて頑張ります。
久崎地区センターで行われた意見交換会。鍋島元佐用町議のご尽力によってたくさんの住民の皆さんにお集まり頂きました。金谷英志、平岡きぬえ町議も参加しました。
下写真は兵庫県では初めてと言われている「輪中提」。「輪中提」は、集落をコンクリート提で囲んで河川氾濫時に溢れた河川水から住居を守ります。通常は道路部分を開放していますが、河川氾濫時には道路部分の両サイドの「輪中提」に柵をはめ込んでつなぎ、集落への浸水を防ぎます。
しかし、この工法には賛否あるようです。というのも、河川氾濫を前提としているからです。本来であれば、想定豪雨河川流量に対して、堤防の嵩上げ、河床掘削、河川拡幅などをして豪雨を下流に流すという発想のはずです。しかし、川幅が狭い場合や河床掘削ができない場合、あるいは堤防高が確保ができず上流より下流の方が河川断面積が小さい場合がおこります。そうなると、上流からの豪雨を下流に流す事ができずに河川は氾濫してしまいます。その場合に、下写真にある様に河川から水を溢れさせる事を前提に、溢れ出した河川水が堤防の外側を崩して決壊しないよう堤防の外側をコンクリートブロックで巻く「巻提」工法を行い、溢れ出した河川水から「輪中提」で住宅を守るという、河川氾濫を前提としている発想が「巻提」「輪中」工法です。 もちろん、下流河川断面積がどうしても確保できない場合には有効な工法になるわけですが、兵庫県の場合は予算が確保できなかったために「輪中提」工法を行ったという声が地元から聞こえてきます・・。真偽は不明。