上郡町、赤穂市に跨る産廃最終処分場建設計画について② 

 上郡、赤穂市に跨る産廃最終処分場建設計画について② 

①では千種川での1600倍希釈倍率についてご報告しました。②ではそれ以外の質問と答弁要旨をまとめました。議事録とちがい私なりにまとめたものなのでご了承下さい。詳しくは動画をご覧ください

 (1)水源地への放流水の混流について 

 図にある様に(住民からの提供資料)、安室川流域周辺には川向水源地(光都に水道水配水)と、与井水源地(上郡町人口の45%に水道水配水)があり、それぞれ地下8メートルから千種川の伏流水を取水しています。国土地理院に掲載されている海抜を見るとそれぞれの水源地は安室川の海抜より低く、このあたり一帯は千種川の氾濫原であったことも上郡町史の地質図に記載があり、地下水などで安室川と千種川が通じている可能性があります。また、それぞれの水源地の上流にある上郡駅付近で工事を行った際に、地下水が千種川方向に流出していることを住民の方が目撃されています。この様な状況から、川向水源地や与井水源地に地下水を通じて産廃からの放流水が混流するのではないか?との不安が住民の中で広がっています。県当局は「事前協議書にある環境調査区域は事業者が決定した」「水源地への影響については調査していない」旨、の答弁でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (2)林地開発要綱の同意条項について

当該計画地は1ha以上の林地開発を伴う計画ですが、未だ林地開発手続きについてはされていませんので全て一般論として質問しました。事前協議書には放流先への影響として農業用水利の記載しかありません。入江「梨ケ原川と安室川には他に水利権はないか?」県当局「安室川には安室ダム水道企業団の水道用水利権と、梨ケ原川、安室川には漁業権が設定されている」。入江「林地開発要綱では環境に影響を及ぼす恐れのある水利権者に対しては同意を求めることになっているがそれでいいか?」県当局「同意を求めることになっている」。産廃の条例などでは、合意形成への努力として説明会などを事業者に義務づけていますが同意までは求めていません。しかし林地開発要綱では影響を及ぼす恐れのある水利権者に同意を求めていることを確認しました。

 (3)環境アセス条例の適用について

 県は環境アセス条例を4月から改正し施工します。入江「アセス条例は、西有年産廃処分場も対象になるか?また、アセス条例では環境調査区域の決定について住民が事業者と県に対し2回意見を言う機会があり、住民の意見を聞いたうえで知事が調査区域を決定するという流れになっている。西有年計画でも環境調査区域の決定について住民が意見を言えるか?」県当局「西有年産廃計画はアセスの対象になる。一定程度事業が進捗していると県が確認した場合は準備書から手続きを始める」との答弁でした。図参照。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アセスの対象となることは評価できるのですか、準備書からの手続きということになると環境調査区域の決定に住民が意見をいう事ができず、事業者が決定した現行の環境調査区域内でアセス調査が行うということになってしまいます。しかし、この度の質疑で明らかになったことは、1600倍希釈問題、水源地への放流水混流の不安、水利権の記載漏れ等々、環境調査区域の決定に住民が参加できなかったことに大きな問題があったのではないでしょうか?アセス条例でも環境調査区域の決定に住民の意見が反映されないようであれば住民の不安は解消されません。

急性期病床10000床削減する兵庫県地域医療構想は白紙撤回を!

 9日、兵庫県予算特別委員会健康福祉部審査で地域医療構想の白紙撤回を求めて県当局を質しました。動画も貼り付けました是非ご覧ください。

予算特別委員会健康福祉部動画 ←クリック

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兵庫県新年度予算は消費税を増税しながら、増税分を社会保障充実分として、急性期病床を削減し、病院統廃合を進め地域医療構想を推進する予算になっています。
  厚労省はこのコロナ禍においても「2022年度中を目途に地域医療構想の実現に向けた地域の議論が進められていることが重要」とし「地域医療構想については、病床の必要量の推計や考え方などを維持しつつ引き続き着実に取り組みを進めて行く必要がある」としています。その裏付けとして、兵庫県新年度予算案にもダウンサイジング、病院統廃合予算が盛り込まれています。
 
 新型コロナウイルス感染症の影響で、県立尼崎医療センターの病床利用率を令和元年度と令和3年1月を比較すると93%から74%まで低下しています。県立加古川医療センターでは81%から46%まで低下しました。パンデミックの影響によって、一般患者が必要な医療を受けられず入院できない状況になりました。
 また、Ccc-hyougoは令和3年1月に209件の入院調整を行いましたが、その内の184件、約9割が保健所区域内で入院できず区域外での入院調整となりました。
 さらに、第3波のクラスター患者数のうち高齢者福祉施設等の患者数は1233人にもなりました。県の対処方針では「高齢者福祉施設等の入所者が感染した場合入院または宿泊施設での療養を原則とする」としましたが、高齢者施設での感染者の多くが入院することができずに高齢者施設での留め置きとなりました。
 
 一般患者もコロナ陽性者も必要な医療を受けるための入院が圏域内はもちろん圏域外でもできませんでした。コロナパンデミックによって医療機関・医師・看護師・急性期病床の全てが不足したにも関わらず、2013年の医療需要予測によって2025年までに県内で急性期病床を1万床も削減し、コロナ禍の元でその役割と責務を大いに発揮した公立公的病院を統廃合しようとする地域医療構想を推進する予算は認められません。
 
 この様な状況のもとで2022年度から圏域内だけでの議論で急性期病床を10000床削減する議論などてぎるはずがありません。地域医療構想はいったん白紙にし感染症パンデミック対策が盛り込まれる2024年度からの新しい第8次医療計画のもとで地域医療について改めて議論すべきす。

兵庫県予算特別委員会 保健師など職員定数の大幅増員を

 10日、予算特別委員会で保健師など職員増員を求めて当局を質しました。要旨をご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 頻発する頻発する大規模災害、発生頻度が高まっている新型感染症ウイルス対策などに必要な人員が求められているにもかかわらず、職員3割を削減した平成30年4月の定員配置を維持し、行財政運営方針を推進する予算となってる。

 平成21年に大流行した新型インフルエンザでは、「検証報告書」によって、「県民からの電話が殺到し、相談に従事する保健師等が不足した」「電話相談に多くの職員が従事したため、患者に対する疫学調査や病院との調整、濃厚接触者調査等に支障をきたした」「専門的な相談が多く、保健師等の専門職種と事務職等の他職種で回答内容に差が生じた」等の課題が指摘されました。それにもかかわらず、県は行革の名のもと中核市へ移行した明石市分を除いても152名から116名へと保健師を36名削減しました。

 その結果、新型コロウイルス第1波・2波の検証報告書では「クラスターが発生した事務所を中心に人員不足が発生した」「感染者の積極的疫学調査や感染予防、保健指導を行う人材である保健師の不足が課題である」「クラスター発生時には3倍以上のマンパワーが必要となり専門職員が不足した」等々、保健師不足が改めて指摘されています。

  県当局は「コロナパンデミックを踏まえ、国は地財計画上兵庫県に対し、感染症対応保健師8名、それ以外の保健師10名、その他薬剤師や獣医師資格を持つ事務職員2名を財政上措置されている」旨、答弁がありましが、県は新年度予算で感染症対応の保健師7名しか増員していません。行革で36名もの保健師を削減し、しかも新年度予算では約20名分の保健師確保予算が地方財政上交付税措置されているにも関わらず、県は7名の保健師しか確保していません。検証報告書の指摘に真摯に耳を傾け保健師の大幅増員を求めます。さらに土木部門でも人員不足が過去の大規模災害検証報告書で指摘されています。それにも関わらず、県は総合土木職職員を平成19年の1,073名から814名へと大幅に削減してきました。

 金沢副知事は、令和2年6月25日の兵庫県将来構想研究会の中でこのように述べています「全く想像していなかった事態を迎えている。ひょっとしたら南海トラフは終わっっているかというような気持ちもあったが、ただよくよく考えてみればこのビジョンの視野に入れている世界は(2050年)、ひょっとしたらパンデミックを2,3回経験したそういう社会になっているかもしれない」。

 1980年代から世界を席巻した、効率と生産性を最優先する新自由主義的な社会構造の在り方の見直しを求める声が広がっています。平時からギリギリの体制ではなく、平時から余裕のある体制、というのがコロナパンデミックの最大の警鐘だったのではないでしょうか。いつ起こってもおかしくない南海トラフ等の大規模災害、発生頻度が高まっている新型ウイルス感染症パンデミックに備えた人員配置が必要です。

兵庫県労働委員会委員の任命は、ジェンダー平等と多様性=ダイバシティ・インクルージョン=の視点を

  10日、予算特別委員会産業労働部審査で労働委員会委員の任命は、ジェンダー平等と多様性=ダイバシティ・インクルージョン=の視点を求めて質問を行いました。

 兵庫県労働委員会は公益委員、労働者委員、経営者委員のそれぞれ定数7名、併せて21名で構成されていますが、記録の残っている平成5年以降、約30年間にもわたって経営者委員、労働者委員は全て男性委員が占めています。

 労働委員会と同じく行政からの独立機関である兵庫県教育委員会の委員選考規則には「性の偏りがないように」と、あります。兵庫県の審議会審議員の選考要綱にも「女性の比率を高めるように」と、あります。また、今議会に提案されている「男女いきいきプラン案」の中でも、「女性管理職の比率を高める」ことなどが、兵庫県の目標として掲げられています。

 労働委員会の委員の任命は、知事が労働組合、経営者団体に対し委員の推薦を公告し、それに応じて労働組合、経営者団体が委員を推薦し、知事が任命するということになっています。予算特別委員会で「広告の際、推薦者団体に対し女性比率を高める事を求めるなど県が主体的役割を果たすよう」繰り返し求めましたが、産業労働部の答弁は「推薦者の主体性に任せる」旨の答弁に終始しました。県のジェンダー平等に対する姿勢が厳しく問われます。

 さらに、労働委員については1989年の連合結成以来、定数7名の委員すべてを連合系労組独占状態にあります。労働委員会への仲介・あっせん内容の多くが、所属組合の違いや、労組を嫌う経営者側からの団体交渉拒否、組合潰しなどの支配介入、組合加入による待遇差別などです。残念ながら、企業内には未だ、会社の意に沿わない労組・労働者に対し、違いや、多様性を認めない支配的な風潮が根強く残っています。

 連合と非連合の組合員数比率はおよそ7対3の比率です。過去の裁判判決では任命基準として「組合員数の比率」「推薦された者の公職歴」などが主な論点となりましたが、組合員数と公職歴は一対の関係となっています。例えば、公職の労働組合枠をおおよそ1枠となっている場合が多く、その結果、多数派労組から選出されるという関係にあります。判決は平成19年に出されましたが当時は「多様性」「違いを認め合う」「ダイバシティ・インクルージョン」という社会的到達はありませんでした。

 労働委員の定数は7名です。組合員数の比率からしても連合系労組独占はあまりにも偏りがあります。企業内に根強く残る多様性や違いを認めない風潮を排除していくためにも労働委員会の委員の任命こそ労働組合の方針の違いを認め合い、多様性を大切にする、ダイバシティ・インクルージョンという世界の大きな潮流に沿った任命が県には求められています。

予算特別委員会 産業労働部動画 ←クリック

上郡町、赤穂市に跨る産廃最終処分場建設計画について①

 11日、予算特別委員会 農政環境部審査で赤穂市・上郡町で計画されている産廃処分場建設計画について県当局を質しました。要旨をご紹介します。

 赤穂市・上郡町に跨いで計画が進められている産廃処分場建設計画について、事業者は「産廃処分場施設から400㎥/日を放流した場合、千種川では稀釈倍率1600倍以上(平成26年8月6日測定)になったため安室川が千種川に合流する地点においての影響はないものと考える」としています。

 事業者と同じ出典資料をもとに、入江「1988年以降、千種川で最も流量少ないデータは?」県当局「隈見橋で平成25年6月12日に18,144㎥/日、 坂越橋で平成18年10月12日に11,232㎥/日(要約」の答弁。それぞれ放流水量400㎥/日で割ると、隈見橋で希釈倍率45倍、坂越橋で28倍という驚きの数字が出てきました。

 仮に事業者が都合の良い数字を用いて希釈倍率を高く見せかけ、千種川には影響ないとしようとしたのであればあまりにも悪質です。環境影響評価は、考えられる最もリスクの高い数値を用いて実施すべきです。

 入江「1600倍稀釈というのは事業者にとって都合のいい数字だ。事業者の云う『1600倍稀釈、千種川に影響はない』というのは再度検証させるべきだ!」県当局「おっしゃる通り。検証させる(要約)」。

 水道水源の上流に産廃処分場が建設されることについて、大きな不安が広がっています。県は住民の不安が解消されるまで、手続きを進めるべきではありません。引き続き住民の皆さんと力合わせて不適格な計画地での産廃処分場建設計画中止のため頑張ります!

 続きは上郡町、赤穂市に跨る産廃最終処分場建設計画について②でご報告しています。ご覧ください 

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ポストコロナ社会は命とくらしが大切にされる県政への転換を

以下、自治体研究社発行の「住民と自治」リレーエッセイ欄へ投稿しました

 

ポストコロナ社会は命とくらしが大切にされる県政への転換を

 

兵庫県会議員  入江 次郎

 

 国は1960年代~2015年までの間、全国総合開発計画=いわゆる全総計画を第5次にわたり、半世紀以上にわたって推進してきました。

 全総計画の目的として一貫して貫かれたのが「地方において開発を促進すれば、地方への企業立地が進み、地方に人口が定着し、東京一極集中が是正される」というものでした。

 中曽根内閣で閣議決定された1987年~2000年の4全総ではアメリカへの完全屈服ともなるプラザ合意をもとに、内需対策として10年間で1,000兆円にもなる公共投資が行われました。

 全総計画への評価として識者からは「3全総以前までは全総が地域格差の是正や全国のインフラ整備に果たした役割は大きいが、その後は道路を造りすぎるなど罪があった」「日本列島の過疎過密の解消が未だできないことから全総計画は失敗であった」との声が挙がっています。

  兵庫県では3全総以降の主な事業として、3全総で但馬モデル定住圏構想、西播磨テクノポリス構想、4全総で但馬空港、北近畿豊岡自動車道路、中国自動車道姫路鳥取線、新名神高速道路、5全総では現在整備・計画中の山陰近畿自動車道(浜坂道路)、東播磨自動車道、大阪湾岸道路西伸部、名神湾岸連絡線、さらには和歌山県と淡路島、神戸空港と関西国際空港をそれぞれ連結する構想が掲げられ「ひょうご基幹道路のあり方」にも初めて掲載されました。

  このように、歴代兵庫県政は国の言われるままに全総計画に首までどっぷりつかって推進してきた結果、高速道路の延長距離は北海道に次いで全国2番目、企業誘致件数も全国トップクラス。しかし全総計画の最大の目的であった東京一極集中は是正されるどころか、ますます加速するばかりです。兵庫県地域創生戦略(2015~2019)では、人口流出抑制は2019年に1208人の転入超過を目標としていましたが、東京への転出先を最大に7260人の転出超過となりました。転出超過数は全国ワースト3位です。

 

 2021年1月28日現在、コロナ禍によって兵庫県の医療現場は崩壊寸前です。2011年兵庫県新型インフルエンザ対策検証報告書では「相談に従事する保健師等が不足した」「パンデミックの際の臨時感染症病床が確保できていない」等々の指摘がされました。しかし、県は2011年以降も保健師を3割削減し、兵庫県地域医療構想では急性期病床を2018年比で2025年までに8639床削減するとして、コロナ禍でその責務と役割を最大限発揮している公立公的病院をターゲットにした病院統廃合計画を推進しています。

   2020年7月にまとめられた『ポストコロナ社会兵庫会議』の提言では「一極集中型の脆さを明らかにした」「過去30年の経済至上主義の矛盾が顕在化」等々、新自由主義の修正や、格差拡大の見直し求める提言が識者から次々と出されました。

 ポストコロナ社会は破たんした全総計画を追随する大型開発推進と大企業優遇し生産性と効率を最優先する県政から、命と暮らしが大切にされる県政への転換が必要です。

 

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